コミュニケーションについての雑感-16
世代ごとの共通の話題「歌謡曲編」
就労支援施設でのグループワークでもそうなのですが、例えば40代後半以降の利用者さん達とは「こんな歌が流行っていたよね」っていう話が結構通じて盛り上がります。
ここでポイントなのは、自分が特に関心のない歌や歌手のことでも多くの場合通じるんですよね。
流行した歌だったらだいたい分かるのがかつての昭和世代。ゴールデンタイムに「ベスト・・・」というような番組があちこちで放送されていましたし、当時はだいたいテレビは一家に一台でしたから、家族の誰かがみていれば、たいてい居間に集まっていた家族全員がなんとなくでも一緒にみていたんですよね。・・・ちびまる子とかのあんな感じです。
だから私も当時流行っていた歌はだいたいわかるし、また家族がみていたドラマやアニメや特撮番組も自然と把握できています。
それがだんだんと変わってきた。
テレビの価格が下がり各自の部屋にもあるようになってきた・・・そんな頃からでしょうか。
例えば年末の歌謡大賞でもレコード大賞でもノミネートされた曲はだいたい全て鼻歌程度にも把握していたのが、知らない曲が増えてきて・・・。
同居していた祖父が長年楽しみにしていた紅白歌合戦をまじめに観なくなったのも平成にはいってからです。「知んねえ歌ばっかでつまらん」と。
リアルタイムにみていたのが、ビデオに録画して後半になっての演歌あたりだけみるようになっていました。
そしてネットでの音楽配信・動画配信などで個人個人が一人で好きな音楽だけを楽しむようになった現代社会では、年末に何かの大賞をとったという曲でも一度も聞いたことがないようなものばかりになってきました。
ちなみに平成5年大晦日の紅白も録画していたので知っていそうなのを選んで観ました。
その中には今年流行った歌っていうのはひとつもなかったです。
かつて紅白といえばその年1年間のヒット曲が並んでいたのでだいたいどの歌もどの歌手もわかるのが、最近の紅白は知らない曲、知らない人ばかり。
そうなっているのは中高年世代だけかと思っていたら、若い世代あたりでもそうだと。自分の好きな歌手や歌は分かるけど、そうでないものはまず知らないという人が多いです。
今回の紅白でも私が知っていたのはみんな昭和の歌。もうかなりお年をめしたキャンディーズのランちゃんとか石川さゆりさんとか薬師丸ひろ子さんとかさだまさしさんとか寺尾聰さんとか・・・・
幅広い世代に通じる歌ということでは、昭和の歌を引っ張り出さないと紅白も成立しないんですね。
「懐かしの・・・」といって昭和の歌を特集した番組があります。
確かに出てくる歌出てくる歌、ほとんどに懐かしさを感じます。
ではもそもこれから数十年後に「懐かしの平成の歌」「懐かしの令和の歌」というような番組がつくられたとして、出てくる歌出てくる歌ほとんどに懐かしさを感じる人はどのくらいいるでしょう???
昭和世代のように、知っているだけではなく、自分が特に好きな歌ではなくてもなんとなくでも鼻歌が口ずさめるか。
個人個人の好みも大切です。
でもあまりにも個人個人に特化しすぎてしまって、同じ世代を生きた通性といいますか・・・・「あの頃はこうだったね」と語り合える材料がなくなっているのは寂しいことだと思ってしまいます。
こういうこともコミュニケーションの範囲が狭くなる一因かもしれないですね。
(次回はこの話のアニメ版です)